舞踊の精神性 / spirituality of dance

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 わたしは、インド舞踊がどのような起源をもち、どんな変化の中を経過し、今日まで受け継がれてきたのかを考えてみるとき、そこに一貫して流れているものが何なのだろう。という思いに駆られます。なぜなら舞踊スタイルというものは、広大なインドにおいては各州がそれぞれに異なる言語、習慣のなかで、それぞれに特徴ある舞踊スタイルを形づくっているからです。まして何百年、何千年も以前にどのような舞踊が踊られていたのかは、わかりません。そこで考えられるのは、精神性、神と人間との関係において、引き継がれてきた精神性こそが、その流れの正体ではないでしょうか。わたしにはそう感じられます。


 また、インド舞踊のテーマには、Hinduism:ヒンドゥ教の神話や伝説が多く、よってヒンドゥの神々の名前、役割などを知ることはもちろんのこと、その内容が何を象徴し、どんな真理が潜んでいるか、などを探求せずにはいられないのです。
さらに、ダンスフォームのなかに登場する人物は、Nayaka:ヒーロー、Nayika:ヒロイン、Sakhi:友人 の3名のうちの誰かなのですが、この3人の役割が、哲学的な真理やまた神への献身的な愛を、隠喩を用いて表されているのです。

 身体的訓練と精神的鍛練は、インド舞踊においては必須科目であります。
精神的鍛練というと、とても根性のいるものと感じられますが、ただ精神を強くするのではなく、ある意味ではまったく正反対の試みなのです。それは、インドで Bhakti:献身 と呼ばれている行為です。ひとことで言ってしまうと、自分自身を神に明け渡す、となりますが、これこそ精神的・霊的修養に他なりません。
このような深遠な道へと、インド舞踊は導いてくれる道しるべなのです。